§14.一般角柱磁石により作られる磁界

2)各磁極面の磁化からの磁場への寄与

1) 上面からの磁場への寄与

これは既に§3において表式化した。 Hx , Hy, Hzが夫々、式(3-11), 式(3-12),  式(3-15) に示される。 ここで、Br の代わりに、M cos⁡θ を代入するものとする。

2) 右側面からの寄与

Fig.14-2に右側面の座標系(XRYRZR)  を示す。

右側面磁化からの寄与

ここで、固有座標系 (X,  Y,  Z) と右側面座標系 (XRYRZR) との関係は

XR=Z+c ,  YR=X,  ZR=Y-b  式(14-2)

となる。 従って点P0(X0, Y0, Z0)は、XRYRZR 座標系で(Z0+c, X0,Y0-b) になる。 右側面の表面磁化 σR が点 P0(X0, Y0, Z0) に作る磁界のX成分はXRYRZR 座標系の YR 成分となるので、§3の式(3-12) で表される。ただし、磁極面は、(a,  b) の代わりに (c,  a) となる。また点 P0(X0, Y0, Z0) の代わりに P0(Z0+c, X0,Y0-b)となる。 従って

HXR=   σR4πμ0logZ0+2c+Z0+2c2 + X0-a2 +Y0-b2Z0+2c+Z0+2c2+X0+a2+Y0-b2    Z0+Z02+X0+a2+Y0-b2 Z0+Z02+X0-a2+Y0-b2    式(14-3)

と表せる。 次に磁界のY成分は、XRYRZR 座標系のZR 成分となるので、§3の 式(3-15) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (c,  a)、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Z0+c, X0,Y0-b) となる。 従って

HYR=σR4πμ0tan-11Z0Z0+2cX0+ a Z0+2c2 +  X0+a2+ Y0-b2  -tan-11Z0Z0+2cX0-a Z0+2c2 + X0-a2+ Y0-b2

-    σR4πμ0tan-11Z0Z0X0+ a Z02 +  X0+a2+ Y0-b2  -tan-11Z0Z0X0- a Z02 + X0-a2+ Y0-b2 式(14-4)

次に磁界のZ成分は、XRYRZR 座標系の XR 成分となるので、§3の 式(3-11) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (c,  a) 、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Z0+c, X0,Y0-b) となる。 従って

HZR=  σR4πμ0log X0+a+Z02+ X0+a2+Y0-b2 X0+a+Z0+2c2+ X0+a2+Y0-b2     X0-a+Z0+2c2+ X0-a2+Y0-b2 X0-a+Z02+ X0-a2+Y0-b2     式(14-5)

3) 前面からの寄与

前面磁化からの寄与の図

Fig.14-3に前面の座標系 (XFYFZF) を示す。 ここで、固有座標系 (X,  Y,  Z) と前面座標系 ( XFYFZF) との関係は

XF=Y ,  YF=Z+c,  ZF=X-a 式(14-6)

となる。
従って点P0(X0, Y0, Z0) は、XRYRZR 座標系で(Y0, Z0+c, X0-a) になる。 前面の表面磁化 σF が点 P0X0, Y0, Z0 に作る磁界のX成分はXFYFZF 座標系の ZF 成分となるので、§3の式(3-15) で表される。ただし、磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c) となる。また点 P0(X0, Y0, Z0)の代わりに P0(Y0, Z0+c, X0-a) となる。
従って

HXF=   σFμ0tan-11 X0-aY0+b Z0+2c Y0+b2 +  Y0+c2 X0-a2  -tan-11 X0-aY0+b Z0 Y0+b2 + Y0-c2 X0-a2

-    σFμ0tan-11 X0-aY0- b Z0+2c Y0-b2 +   Z0+2c2 X0-a2  -tan-11 X0-aY0-b Z0 Y0-b2 +  Z02 X0-a2 式(14-7)

次に磁界のY成分は、XFYFZF 座標系の XF 成分となるので、§3の 式(3-11) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c) 、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Y0, Z0+c, X0-a) となる。
従って

HYF=   σF4πμ0log Z0+2c+Y0-b2+ Z0+2c2+ X0-a2 Z0+2c+Y0+b2+ Z0+2c2+ X0-a2     Z0+Y0+b2+ Z02+ X0-a2 Z0+Y0-b2+ Z02+ X0-a2     式(14-8)

次に磁界のZ成分は、XFYFZF 座標系のYF 成分となるので、§3の 式(3-12) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c) 、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Y0, Z0+c, X0-a) となる。
従って

HZF=   σF4πμ0logY0+b+Y0+b2 +  Z02 + X0-a2Y0+b+Y0+b2+ Z0+2c2+ X0-a2    Y0-b+Y0-b2+ Z0+2c2+ X0-a2 Y0-b+Y0-b2+ Z02+ X0-a2    式(14-9)

4) 左側面からの寄与

左側面磁化からの寄与の図

Fig.14-4に左側面の座標系  (XLYLZL) を示す。 ここで、固有座標系 (X,  Y,  Z)と右側面座標系 (XLYLZL) との関係は

XL=Z+c ,  YL=X,  ZL=Y+b  式(14-10)

となる。 従って点P0(X0, Y0, Z0) は、XLYLZL 座標系で(Z0+c, X0,Y0+b) になる。 右側面の表面磁化 σL が点 P0(X0, Y0, Z0) に作る磁界のX成分はXLYLZL 座標系の YL 成分となるので、§3の式(3-12) で表される。ただし、磁極面は、(a,  b) の代わりに (c,  a) となる。また点 P0(X0, Y0, Z0)の代わりにP0(Z0+c, X0,Y0+b) となる。
従って

HXL=   σL4πμ0logZ0+2c+Z0+2c2 + X0-a2 +Y0+b2Z0+2c+Z0+2c2+X0+a2+Y0+b2    Z0+Z02+X0+a2+Y0+b2 Z0+Z02+X0-a2+Y0+b2    式(14-11)

次に磁界のY成分は、XLYLZL座標系のZL 成分となるので、§3の 式(3-15) で表される。 同様に磁極面は、 (a,  b) の代わりに(c,  a) 、また点 P0(X0, Y0, Z0) の代わりに  P0(Z0+c, X0,Y0+b) となる。
従って

HYL=   σL4πμ0tan-11Y0+bZ0+2cX0+ a Z0+2c2 +  X0+a2+ Y0+b2  -tan-11Y0+bZ0+2cX0- a Z0+2c2 + X0-a2+ Y0+b2

-    σL4πμ0tan-11Y0+bZ0X0+ a Z02 +  X0+a2+ Y0+b2  -tan-11Y0+bZ0X0- a Z02 + X0-a2+ Y0+b2 式(14-12)


次に磁界のZ成分は、XLYLZL 座標系の XL 成分となるので、§3の 式(3-11) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (c,  a) 、また点 P0(X0, Y0, Z0) の代わりに  P0(Z0+c, X0,Y0+b) となる。
従って

HZL=   σL4πμ0logX0+a+Z02+X0+a2+Y0+b2X0+a+Z0+2c2+X0+a2+Y0+b2    X0-a+Z0+2c2+X0-a2+Y0+b2X0-a+Z02+X0-a2+Y0+b2     式(14-13)

5) 背面からの寄与

背面磁化からの寄与の図

Fig.14-5に背面の座標系 (XBYBZB) を示す。 ここで、固有座標系 (X,  Y,  Z) と背面座標系 (XBYBZB) との関係は

XB=Y ,  YB=Z+c,  ZB=X+a  式(14-14)

となる。 従ってP0(X0, Y0, Z0) は、XBYBZB  座標系で(Y0, Z0+c, X0+a) になる。 背面の表面磁化 σB が点 P0X0, Y0, Z0 に作る磁界のX成分はXBYBZB 座標系の ZB 成分となるので、§3の式(3-15) で表される。ただし、磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c) となる。また点 P0(X0, Y0, Z0) の代わりに P0(Y0, Z0+c, X0+a) となる。
従って

HXB   =   σB4πμ0tan-11 X0+aY0+b Z0+2c Y0+b2 +   Z0+2c2+  X0+a2  -tan-11 X0+aY0+b Z0 Y0+b2 +  Z02+  X0+a2

-    σB4πμ0tan-11 X0+aY0- b Z0+2c Y0-b2 +   Z0+2c2+  X0+a2  -tan-11 X0+aY0-b Z0 Y0-b2 +  Z02+  X0+a2 式(14-15)


次に磁界のY成分は、XBYBZB 座標系の XB 成分となるので、§3の 式(3-11) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c)、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Y0, Z0+c, X0+a) となる。
従って

HYB=   σB4πμ0log Z0+2c+Y0-b2+ Z0+2c2+ X0+a2 Z0+2c+Y0+b2+ Z0+2c2+ X0+a2     Z0+Y0+b2+ Z02+ X0+a2 Z0+Y0-b2+ Z02+ X0+a2     式(14-16)

次に磁界のZ成分は、XBYBZB 座標系の YB 成分となるので、§3の 式(3-12) で表される。 同様に磁極面は、(a,  b) の代わりに (b,  c) 、また点 P0(X0, Y0, Z0)  の代わりに  P0(Y0, Z0+c, X0+a)) となる。 従って

HZB=σB4πμ0logY0+b+Y0+b2 +  Z02 + X0+a2Y0+b+Y0+b2+ Z0+2c2+ X0+a2  Y0-b+Y0-b2+ Z0+2c2+ X0+a2 Y0-b+Y0-b2+ Z02+ X0+a2    式(14-17)

6) 底面からの寄与

底面磁化からの寄与の図

Fig.14-6底面の座標系 (XBoYBoZBo) を示す。 ここで、固有座標系 (X,  Y,  Z) と背面座標系 (XBoYBoZBo) との関係は

XBo=X ,  YBo=Y,  ZBo=Z+2c  式(14-18)

となる。 従って点P0(X0, Y0, Z0) は、XBoYBoZBo  座標系で(X0, Y0,Z0+2c) になる。 底面の表面磁化 σBo が点 P0(X0, Y0, Z0) に作る磁界のX成分はXBoYBoZBo 座標系の XBo 成分となるので、§3の式(3-11) で表される。ただし、磁極面は、(a,  b) のままである。また点 P0(X0, Y0, Z0) の代わりに P0(X0, Y0,Z0+2c) となる。
従って


HXBo=σBo4πμ0logY0+b+X0-a2+Y0+b2+Z0+2c2Y0+b+X0+a2+Y0+b2+Z0+2c2    Y0-b+X0+a2+Y0-b2+Z0+2c2Y0-b+X0-a2+Y0-b2+Z0+2c2     式(14-19)

同様に Y 成分は

HYBo=σBo4πμ0logX0+a+X0+a2 + Y0-b2 +Z0+2c2X0+a+X0+a2+Y0+b2+Z0+2c2   X0-a+X0-a2+Y0+b2+Z0+2c2 X0-a+X0-a2+Y0-b2+Z0+2c2    式(14-20)

同様に Z 成分は

HZBo=   σBo4πμ0tan-11Z0+2cX0+aY0+ b X0+a2 +  Y0+b2+ Z0+2c2 -tan-11Z0+2cX0+aY0- b X0+a2 + Y0-b2+ Z0+2c2

-    σBo4πμ0tan-11Z0+2cX0- aY0+ b X0-a2 +  Y0+b2+ Z0+2c2 -tan-11Z0+2cX0-aY0- b X0-a2 + Y0-b2+ Z0+2c2 式(14-21)



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公開日:2013年10月14日      更新日:2023年10月16日
作成者:児島 伸生
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