§1.磁性体を含む系の磁場の表式
2)磁気双極子
Fig.2に示した様な、小さい環を考え、環には一定電流iが流れているとする。環はxy平面上にあるとする。環上の位置にある微小ベクトル要素をとすると点のベクトルポテンシャルは
式(1-7)
ここで
式(1-8)
また
式(1-9)
である。環の大きさは点迄の距離に比べて十分に小さいと仮定し、
と考え r を 1/R で展開し、に関して1次の項までで近似する。式(1-8)は
式(1-10)
従って 1/r は
式(1-11)
式(1-12)
ここで経路積分の1項目はゼロになり、2項目の積分は
式(1-13)
式(1-13)の第一項目の経路積分は
となるが、一項目は経路積分の往きと帰りで同じの値に対しの符号が逆になるので積分はゼロとなる。(Fig.3参照)二項目は、環で囲まれた面積Sとなる事がFig.3より 解る。次に、式(1-13)の第二項目の経路積分は
となるが、一項目は -S となる事が、Fig.3より解る。また二項目は経路積分の往きと帰りで同じの値に対しの符号が逆になるので積分はゼロとなる。従って式(1-13)は
式(1-14)
ここでベクトル積となる事を用いている。更にであるので、式(1-14)の右辺にを加えても変わらないので
式(1-15)
ここに、以下の量を定義し、磁気双極子モーメントと呼ぶ。
式(1-16)
ここでは環の面の法線方向を向き、面積Sを持つベクトルである。式(1-15)は、磁気双極子モーメントを用いて
式(1-17)
このように原点から距離の点の磁気双極子モーメントによるベクトルポテンシャルを求める事ができた。環電流はXY平面にあると仮定したが、式(1-17)は、との外積の形に一般化されており、一般の場合にも成り立つ。磁場は式(1-17)の回転より求められる。以下のベクトル演算の一般公式を用いる。
式(1-18)
は一定なのでであるから、式(1-17)の回転は
式(1-19)
ここで一項目の{ }内は
式(1-20)
となり、ゼロとなる。二項目の{ }内で一つ目の( )内(x成分)を考えると
式(1-21)
よって式(1-19)は
式(1-22)
ここで、
式(1-23)
と書けるので、式(1-22)は
式(1-24)
と表す事ができる。
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公開日:2011年1月15日 更新日:2023年10月16日
作成者:児島 伸生
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