§1.磁性体を含む系の磁場の表式

4)磁性体を含む場合(磁場の表式)

式(1-26)の回転をとり直接磁場を求める事を考える

Bx,y,z=×Ax, y, z=μ04πV0×1R3 Mx',y',z'×RdV' 式(1-38)

以下のベクトル演算の一般公式を用いる。

 ×F×G=F   G- G   F +G  F- F  G 式(1-39)

式(1-38)の積分の中はFMGR  R3を代入すると

×1R3 M×R=M  R  R3-R  R3M+R  R3M-MR  R3 式(1-40)

となるが、Mx',y',z'の関数であるので、式(1-40)の2項目のM及び3項目のRMはゼロとなる。従って式(1-38)は

Bx,y,z=μ04πV0×1R3 Mx',y',z'×RdV'

=μ04πV0M  R  R3-MR  R3dV' 式(1-41)

式(1-41)の積分内の第一項目の( )内はR=x-x',y-y',z-z'0であれば

 R  R3=xx-x'x-x'2+y-y'2+z-z'23+yy-y'x-x'2+y-y'2+z-z'23+zz-z'x-x'2+y-y'2+z-z'23

=3x-x'2+y-y'2+z-z'23-3x-x'2+y-y'2+z-z'2x-x'2+y-y'2+z-z'25=0 式(1-42)

が成り立つ。

従って積分の領域をFig.5に示した様に、点P0=r=x,  y,  zを含む球の領域V1とそれ以外の領域 V0V 1に分けて考える。

積分領域

領域V0V 1では、式(1-42)が成り立つので式(1-41)の積分の第一項は 

μ04πV0M  R  R3dV'=μ04πV1M  R  R3dV'+μ04πV0-V1M  R  R3dV'

=μ04πV1M  R  R3dV' 式(1-43)

V1の領域を十分小さくとれば M は 一定値Mx, y, zに近づくので式(1-43)は

μ04πV1M  R  R3dV'=-μ04πMx, y, zV1 M' R  R3dV' 式(1-44)

ここでベクトル演算の公式

V0 FdV=S0Fn dA 式(1-45)

を用いると式(1-44)は

-μ04πMx, y, zV1 ' R  R3dV'=μ04πMx, y, zS1S  S3n dA' 式(1-46)

ここでS は領域V1の中心から球面S1上へのベクトルであり、n は球面S1上の微小面積要素dA'の単位法線ベクトルであり、

S1Sn dA'=4πS3 式(1-47)

であるから、式(1-46)は

μ04πMx, y, zS1S  S3n dA'=μ0Mx, y, z 式(1-48)

従って式(1-41)の{ }内の第一項は

μ04πV0M  R  R3dV'=μ0Mx, y, z 式(1-49)

と表せる事がわかる。

次に、式(1-41)の{ }内の第二項目は以下のベクトル演算公式

 FG=F  G+G  F+F××G+ G××F 式(1-50)

を用いる。上式のFMG R  R3を代入すると

 MR  R3=M  R  R3+R  R3  M+M××R  R3+ R  R3××M 式(1-51)

Mx',y',z'の関数であるので、式(1-51)の2項目のRM及び4項目の×Mはゼロとなる。また3項目の括弧内は以下の様に勾配の回転となるのでゼロとなる。

×R  R3=×-1R=0 式(1-52)

従って式(1-51)は以下の様になる。

 MR  R3=M  R  R3 式(1-53)

よって式(1-41)の2項目の積分は

-μ04πV0Mx',y',z'R  R3 dV'=- μ04πV0Mx',y',z'R  R3 dV' 式(1-54)

ここで積分の中を考えると

Mx',y',z'R  R3=Mx',y',z'r-r'r-r'3=Mx',y',z'  '1R 式(1-54')

ここで、'は、x,',y',z'に関する微分演算子である事に注意する事。

'=x'ex+y'ey+z'ez 式(1-55)

更に

'Mx',y',z'R=1R'Mx',y',z'+Mx',y',z' '1R 式(1-56)

であるので式(1-54)は

-μ04πV0Mx',y',z'R  R3 dV'

=- μ04πV0'Mx',y',z'R-1R'Mx',y',z' dV' 式(1-57)

積分の一項目にベクトル演算の公式(1-45)を用いると式(1-56)は

-μ04πV0Mx',y',z'R  R3 dV'

=- μ04πS0Mx',y',z'  nRdA' + μ04πV0'Mx',y',z'R dV' 式(1-58)

と表す事ができ、ここで、磁極密度

ρMx',y',z'-'Mx',y',z' 式(1-59)

及び表面磁極密度

σMx',y',z'Mx',y',z'  n 式(1-60)

を定義すると、式(1-41)は

Bx,y,z=μ04πV0×1R3 Mx',y',z'×RdV'

=- μ04πS0σMx',y',z'RdA' - μ04πV0ρMx',y',z'R dV'μ0Mx, y, z

= μ04πS0σMx',y',z'RR3dA'+ μ04πV0ρMx',y',z'RR3 dV'μ0Mx, y, z 式(1-61)

と表す事ができた。

ここで一項目は磁性体の表面の磁極密度からの磁場への寄与を表し、2項目は磁性体内部の磁極密度からの磁場への寄与を表し、3項目は磁性体の磁化を表す。3項目は、点(x,y,z) が磁性体の外部で真空であれば、ゼロとなる。

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公開日:2011年1月15日     更新日:2023年10月16日
作成者:児島 伸生
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