§7.弓形磁極により作られる磁界

1)磁界の表式

Fig.12で示されたように固有座標径に於いて、半径Rで、開始角度Θsから終了角度Θe、X軸方向に‐LからL迄伸びた弓形の磁極面が点 P0(X0, Y0,  Z0) に作る磁界を計算する。磁極表面の磁化MはZ軸方向を向いているとする。

弓形上の点 x,   Rcosθ ,  Rsinθに位置し微小角度dθ、微小X方向長さdxを持った微小要素を ds とする。 座標原点O からdsまでのベクトル r 及び dsの面積は、

r=x,   Rcosθ ,  Rsinθ

ds=R dθ dx 式(7-1)

となる。また、dsから点P0迄を結んだベクトルをr`とすると、

r` =X0-x,  Y0-Rcosθ ,  Z0-Rsinθ  式(7-2)

となり、距離 r` は

 r`=r` r`=(X0   x)2    +     (Y0 R cosθ)2  +   (Z0 R sinθ)2      式(7-3)

となる。

また微小要素の磁極面の磁荷 dm は、磁石の残留磁束密度をBrとすると、磁化MはZ方向を向いているので

dm  =  Br sinθds = Br sinθ R dθ  dx

ここで 式(7-1)を用いた。

微小要素dsによって点P0に作られる磁界は dH はdsから点P0を結ぶ方向を向いたベクトルで 以下の様に表せる。

 dH  =  dm4π μ0   r`2  r`r` =   Br sinθ R dθ dx4π μ0   r`2  r`r`

従って、全ての弓型磁極面からの磁界Hへの寄与は弓型全体の角度θとXに関して積分する事により求められ

H =   ΘsΘe-LLdH  =Br R4πμ0 ΘsΘe-LLsinθr`2 r`r`   dθ dx  

となる。r` の 式(7-2)を用いて H の各成分で表せば

Hx= Br R4πμ0ΘsΘe-LLsinθr`3 X0-xdθ dx 式(7-4)

Hy =    Br R4πμ0ΘsΘe-LLsinθr`3 Y0-Rcosθdθ dx 式(7-5)

HZ =   Br R4πμ0ΘsΘe-LLsinθr`3 Z0-Rsinθdθ dx 式(7-6)

となる。

ここで、 X0-x = tとおくと 積分範囲は X0   + L,   X0 -L 

dx= -dt であるから 式(7-4) ~ (7-6) は

Hx= Br R4πμ0ΘsΘesinθ dθX0-LX0+Ltr`3 dt        式(7-4`)

Hy = Br R4πμ0ΘsΘe sinθ Y0-Rcosθ dθ X0-LX0+L1r`3  dt 式(7-5`)

Hz = Br R4πμ0ΘsΘe sinθ Z0-Rsinθ dθ X0-LX0+L1r`3  dt 式(7-6`)

とt に関する積分で表せる。ここで r` は t を用いると

r` =  t2    +     (Y0 R cosθ)2  +   (Z0 R sinθ)2      式(7-3`)

となる。

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公開日:2011年1月23日     更新日:2023年10月16日
作成者:児島 伸生
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