§9.扇型平角ワイヤーに流れる電流による磁界
2)積分の実行
1)Hxの計算
式(9-4)において
式(9-5)
とおきzに関する積分をtに置き換えるとHxは
式(9-6)
数学公式Ⅰ(岩波全書) の以下の不定積分公式を利用する。
=
式(9-7)
上式でa=1 , b=0 と考えれば
=
式(9-7’)
となるので式(9-6)のtに関する積分が実行でき
式(9-8)
と表せる。次にrに関する積分を考える。[ ]内の各項の分子の根号内は 式(9-5)より
式(9-9)
また
=
式(9-10)
と表せる。ここで を以下のように置いた。
式(9-11)
数学公式Ⅰ(岩波全書) の以下の不定積分公式を利用する。
=
[a>0の時]
上式でa=1 と考えれば積分公式は 以下の様になる。
=
式(9-12)
ここで X → r と考えれば 式(9-8)のrに関する積分が実行でき
式(9-13)
と表せる。
2)Hyの計算
Hyの計算はHxの計算と全く同様で式(9-13)でcosθを sinθに置き換えればよく
=
式(9-14)
と表せる。
2)Hzの計算
式(9-5)の変換を行いzからtの積分に変換すると式(9-4)のHzは
式(9-15)
数学公式Ⅰ(岩波全書) の以下の不定積分公式を利用する。
) =
式(9-16)
a=1 , b=0 と考えれば
=
であるから式(9-15)の積分は
式(9-17)
式(9-5),(6-9)よりCはrの2次式で
C =
=
=
=
式(9-18)
ここで
式(9-19)
と表せるので式(9-17)のrに関する積分は
式(9-20)
ここで と置きrからtの積分に変換すると
=
=
式(9-21)
ここで積分の{ }内の初めの2項の分子はtの一次式となっており、次の
数学公式Ⅰ(岩波全書) の以下の不定積分公式を利用すると積分が実行できる。
式(9-22)
ここで式(9-22)で、a→1、P→、c→ または (夫々1項目、2項目)と考えればよい。また式(9-22)の判定式 -c に相当する値は
式(9-22)
であるので2項共式(9-22) の2番目の公式が適用される。これらより式(9-21)は
=
=
-
式(9-23)
ここで sign(x) は の場合に夫々 -1 , 0 , 1 を取る関数とする。
が次の3つの場合に場合分けして考える。
ⅰ) の時
であるので
=
式(9-25)
ⅱ) の時
であるので
=
式(9-26)
ⅰ)からⅲ)のHzの式は全ては同じ式になっている。
次に式(9-26)の後半の分子がtの2次式になっている2項の積分を考える。後半の1項目は
式(9-27)
とおくと
式(9-28)
両辺を二乗して
よって
式(9-29)
上式を微分すると
dt=
式(9-30)
また式(9-28 )は式(9-29)を用いると
式(9-31)
従って式(9-26)の後半の1項目の積分をtからsの積分に変換すると
式(9-32)
ここで
式(9-33)
とおいた。このように、式(9-26)の後半の1項目は式(9-32)に示したように有理化できた。
式(9-26)の後半の2項目の積分も1項目の積分と同様で、→と置き換えて考えればよく、
式(9-34)
ここで
,
式(9-35)
となる。
これらより、Hzの表式は
=
式(9-36)
この後半の有理関数の積分は、別途解き方を示すものとする。
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公開日:2010年2月13日 更新日:2023年10月16日
作成者:児島 伸生
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